【2次関数】センター試験の問題を解いてみる②

今回の記事は、「センター試験の問題を解いてみる①」の続きです。今回は令和2年の追試験の2次関数の問題を解いていこうと思います。

本試験の問題は以前解説していますので、こちらからどうぞ↓

問題

ちなみに、問題自体はセンター試験のサイトで公開されています。こちら↓からどうぞ。

センター試験公式サイト

令和2年度追・再試験の問題(数学Ⅰ・Aを選べばPDFファイルが開きます)

問題(センター試験・令和2年度追試験より抜粋)

解説

(1)について

これは簡単ですよね。\(f(x)\)の式が問題文の中で与えられているので、これを平方完成するだけです。

平方完成については過去に解説している記事がありますので、そちらでどうぞ。

平方完成すると…

\[f(x)=\{x-\frac{1}{2}(a+4)\}^2-\frac{1}{4}(a+4)^2+4a+4\]

という式が出てきます。

定数項(\(x\)が含まれていない項)を回答形式に合わせるように変形すると…

\[\frac{-1}{4}a^2+2a\]

という式になります。これが(1)の答えです。

(2)について

まず、\(a-2\text{≦}x\text{≦}2\)における最大値を求めます。

2次関数で下に凸のグラフというのは最大値というのは基本的にありません。ただし、定義域を決めるとその範囲の中で最大値が決まります。2次関数で下に凸のグラフの最大値には以下のような特徴があります。

2次関数(下に凸)の最大値の特徴

頂点が定義域の左端に近ければ定義域の右側で最大値を取り、定義域の右端に近ければ定義域の左側で最大値を取る。もし、頂点が定義域の外にある場合でも同じことが言える。

頂点が定義域の中心にあるときは定義域の右端と左端の両方で最大値を取る。

もしこの特徴について「?」と思った人は試しに\(y=x^2\)のグラフを描いて、ご自身で定義域を決めてから最大値がどのように変化していくかを観察してみてください。きっと↑のような結論にたどり着くと思います。この内容を踏まえて、解説を進めていきます。


問題の中で、\(a\)が4以上の定数とされているので、仮に\(a=4\)のときのことを考えてみましょう。頂点の\(x\)座標はいくらになるでしょうか。

(1)の答えを導く過程で平方完成を行いました。ちなみに頂点は

\[(\frac{1}{2}(a+4),\frac{-1}{4}a^2+2a)\]

ですから、\(a\)が4のときの\(x\)座標の値は4です。

定義域が\(a-2\text{≦}x\text{≦}a+2\)となっているので、\(a\)が4のときは\(2\text{≦}x\text{≦}6\)になります。

\(x=2\)と\(x=6\)は頂点から同じ距離なので、最大値は\(x=2\)と\(x=6\)のときに取ることになります。

では、\(a\)が4よりも大きくくなるとどうでしょうか。

では次に、\(a=6\)の時を考えましょう。頂点の\(x\)座標は5となり、定義域は\(4\text{≦}x\text{≦}8\)となります。先程は頂点から定義域の右端と左端まで等しかったですが、今回は頂点が少し左寄りになりました。ということは、このまま\(a\)の値を大きくしていくとどんどん左寄りになり、最終的に定義域の外にはみ出るのではないか…?という見通しが立ちました。

したがって、\(a\)が4以上の場合というのは\(a\)が4のときのみ定義域の左端でも最大値を取りますが、それ以外の場合は定義域の右端のときに最大値を取るということが言えます。

ですので、最大値を取るときは定義域の右端・つまり\(x=a+2\)のときです。関数の式に\(x=a+2\)を代入しましょう。

すると…

答えは\(2a\)となります。


続いての部分ですね。

基本的に頂点が最小値になるのですが、定義域が頂点を含んでいない場合は話が変わってきます。したがって、ここでは頂点がどのタイミングで定義域から外れるのか?を求めればいいわけです。

先程、最大値を求める過程で1つ見通しを立てましたね。このまま\(a\)の値を大きくしていくと、いずれ頂点が定義域から外れるのではないか…?という見通しです。

\(a\)が4以上と決められているので、\(a\)が4より小さくなることはない・つまり、頂点が定義域の右に外れることはありません。左に外れる場合のみ考えましょう。

このまま\(a\)の値をどんどん大きくしていけばいいのです。頂点が定義域の左に外れる場合とはどのような状態でしょうか。定義域は\(a-2\text{≦}x\text{≦}a+2\)なので、\(a-2\)が頂点の\(x\)座標より大きくなると頂点は定義域からはみ出ることになりますね。つまり、以下のような不等式が成立します。

\[\frac{1}{2}(a+4)<a-2\]

これを解けば、\(8<a\)という答えが出てきます。この8がの答えですね。


もう少しです。最後は\(8<a\)のときの最小値ですね。

頂点が定義域の左にはみ出ている状態なので、頂点に近ければ近いほど値は小さく、頂点から遠ければ遠いほど値は大きくなることは容易に予想できます。つまり、このとき最小値を取るのは定義域の左端・つまり\(x=a-2\)のときです。したがって、\(f(x)\)の式に\(x=a-2\)を代入すると…

\(-2a+16\)が出てきますね。これが答えです。

まとめ

今回の問題を解く中で、重要なポイントをまとめてみましょう。

まとめ
  • 2次関数(下に凸)のグラフでは、頂点から定義域の中心であれば定義域の左端と定義域の右端で最大値を取る。定義域の中で左端に近ければ右端で最大値を取り、右端に近ければ左端で最大値を取る。
  • 2次関数(下に凸)のグラフでは、頂点が定義域の中にあれば頂点の時に最小値を取る。頂点が定義域から外れていれば、定義域の右恥と左端のどちらか・頂点に近い方で最小値を取る。

こんな感じでしょうか。別に何も難しいことはないですよね。2次関数のグラフの基本的な性質です。あとは平方完成などの基本的な計算や式変形の作業です。

ただ、センター試験では数学Ⅰ・Aの解答時間が60分であり、この2次関数の問題に割ける時間は10分もないでしょう。問われていること自体はそんなに難しくないのですが、解答時間が短すぎるがゆえに難しく感じてしまいます。したがって、できるだけ短時間で問題を解くということを繰り返していくことが、攻略のポイントかなと思います。数学だけに限った話ではないかもしれませんが。


というわけで、今回はここで終わりです。何か参考になる情報があれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。